【社長のひとりごと】やめる判断は、思っているより難しい

事業をやっていると、たまに「これはやめどきかもしれない」と頭をよぎる場面がある。
売上が想定どおりに立たない、続けるための労力がリターンに見合わない、別のことに時間を割いたほうがよさそうだ、といった具合に、理由としてはそんなに複雑なものではない。
それでも、いざやめると決めるのは、思っているより難しい。

たたむほうが、始めるより手数が多い

ひとつは、続けてきた時間と、関わってくれた人がいるからだ。
やめると言った瞬間に、誰かに事情を説明し、頭を下げる場面が出てくる。資料を整理し、口座まわりを止め、契約を解く。
始めるときよりも、たたむときのほうが地味な手数が多い。これだけで、判断を一度先送りにしたくなる。

「あと少し」が判断を遅らせる

もうひとつは、やめた直後に「あと少し続けていたら、形になったかもしれない」という考えが出てくること。
これはたぶん経営者なら誰もが通る感覚で、消すのは難しい。
逆に言えば、こういう考えが出てくるからこそ、続ける/やめるの線引きは簡単ではない。

振り返って後悔するのは、たいてい逆のほう

私自身、過去にやめた取り組みや、形を変えて畳んだ事業がいくつかある。
やめた直後は、しばらく宙ぶらりんな気分が残る。ただ、時間が経ってから振り返ったときに、やめたこと自体を後悔したことはほとんどない。
むしろ後悔するのは、もう少し早くやめておけばよかった、というほうのパターンが多い。

続ける判断と、やめる判断は別の力

事業は、続けるだけが正解ではない。続ける判断と、やめる判断は別の力で、どちらも経営者の仕事の中にある。
やめるほうは派手さがなく、自分以外には見えにくい判断だから、つい後回しになる。
だからこそ、たまに自分の中で「これは続ける、これはやめる」を一度口に出してみるくらいでちょうどいい気がしている。

一筋縄で行かないのは、始めるほうではなく、やめるほうなのかもしれない。

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