【社長のひとりごと】日本の蓄電池が、ベトナムへ渡る日

週末、たまっていたメールを整理していたら、一通の適時開示に目が留まりました。株式会社パワーエックスが、ベトナム向けに大型蓄電システムを初めて受注した、という知らせです。何気なくスクロールしていた指が、そこで止まりました。

私は、あの工場を歩いたことがある

実は以前、岡山県玉野市にあるパワーエックスの蓄電池工場「Power Base」を視察させてもらったことがあります。訪れたのは工場が稼働したてのころで、まだ本格量産の前。それでも、ガラス張りの建屋の中で国産の大型蓄電を真正面から作ろうとしている、その立ち上がりの熱気を肌で感じました。だから今回のニュースは、私にとって遠い経済記事ではなく「あのとき見た現場の、その後」として届きました。あの工場で生まれた製品が、いよいよ海を渡るのか、と。

何が起きたのか

豊田通商グループのエレマテックを通じて、ベトナム向けに約17億円。パワーエックスにとって、自社製品が海外市場へ供給されるのはこれが初めてだそうです。しかも5月に公表していた年間の受注見込み22億円には含まれない、いわば想定の外側から積み上がった一件でした。国産の蓄電が「輸出産業」になっていく。その最初の一歩が、静かに踏み出された瞬間だと感じています。

ベトナムに縁のある私たちが、注視する理由

私たちはこれまで、ベトナムに深い関わりを持ちながら事業を続けてきました。だからこそ「仕向地がベトナム」という一点に、単なる市場拡大以上の意味を感じます。日本の技術と、あの国の伸びゆく電力需要が結びつく——その絵が、すんなり頭に浮かぶのです。私自身は国内で系統用蓄電所の用地を追う日々を送っています。土地という川上から、機器、そして海外展開まで、蓄電をめぐるバリューチェーンが一本につながり始めている。そんな手応えを、今回のニュースから受け取りました。

週末にもらった、一つの視座

制度の波にうまく乗ることも、もちろん事業には欠かせません。けれどその先に、「日本の蓄電を、どう世界へ届けるか」という問いがある。週末のメール整理の手を止めて、そんな視座をもらえた一件でした。山本でした。

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