【社長のひとりごと】100件申し込む会社がいた──8月から接続検討に「持ち駒」の上限がついた

こんにちは、合同会社440の山本です。お盆が明けて、蓄電所の業界に静かな地殻変動が起きました。ニュースとしては地味なのに、開発の現場では確実に効いてくる話です。今日はその一件について。

「1社で100件超」が引き金になった

2026年8月1日から、一般送配電事業者各社が、系統用蓄電池などの接続検討の申込みに「1事業者あたりの件数上限」を設けました。同じエリアで同時に抱えられる接続検討の数に、はじめて天井ができたわけです。

2026年3月時点の暫定値では、東京エリアが11件、関西が10件、九州と北陸が8件、東北が6件、沖縄を除くその他のエリアが5件。数字だけ見ると「意外と少ない」と感じる方が多いと思います。

背景ははっきりしています。特定の事業者が短期間に同一エリアで100件を超える接続検討を申し込む事例が、複数確認されていた。いわゆる空押さえです。系統の空き枠を先に確保しておいて、あとからゆっくり事業性を検討する。真面目に1件ずつ積み上げている事業者からすれば、たまったものではありません。

机の上に積み上がった書類の束を手で仕分ける様子

持ち駒が5枚になると、人は初めて真剣に選ぶ

私自身、系統用蓄電所の接続検討を複数進めている立場です。だからこの変更は、他人事のニュースではありませんでした。

先日も、関西のある案件を1件、取り下げました。上位系統の増強が必要で、工期も負担金も現実的な数字にならなかったからです。以前なら「回答が来るまで置いておこう」で済んだかもしれません。でも今は、その1件が持ち駒を1枠占め続けます。手元のカードが限られていると分かった瞬間、判断が早くなる。自分でも驚くほどでした。

区画が示された土地の空撮

土俵が平らになった、という読み方

この話、規制が増えて窮屈になった、と受け取ることもできます。ただ私は逆に見ています。

資本力で数を撃てる会社の優位が薄まり、1件を丁寧に見る会社の選球眼が効くようになった。少なくとも、申込み件数の多さで枠を押さえられる時代は終わりました。うちのような小さな会社にとっては、むしろ土俵が平らになった話です。

会議室で二人が資料とノートPCを見ながら検討する様子

なお、7月31日までに受付が完了した案件は、上限を超えていても従来どおり回答されます。8月1日時点で受付が完了していないものは新ルールの対象。ここは実務上、けっこう効きます。

持ち駒が限られると、人は初めて真剣に選ぶ。制度に教わるのも情けない話ですが、今年の夏はそれを学びました。来週も、1件ずつ見に行きます。

出所:資源エネルギー庁 次世代電力系統ワーキンググループ資料、エネハブ、各一般送配電事業者の告知

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