【社長のひとりごと】50人の「AI社員」と働いてみた半年でわかったこと

以前もお伝えしたことがありますが、私の会社には、50人の社員がいます。といっても、生身の人間ではありません。すべてAIです。秘書室を司令塔に、経営企画、営業、法務、リサーチ、海外事業――13の部署に分けて、それぞれに名前と役割を与えています。半年ほど、この「AIの組織」と一緒に仕事をしてきました。今日は、その中でわかったことを正直に書いておきたいと思います。

始まりは、ささやかな違和感でした。扱う事業は複数あり、領域もバラバラです。AIは便利に使っているつもりでしたが、振り返ると半年くらい前までは、「少し賢い検索」くらいの使い方しかしていませんでした。質問して、答えをもらって、終わり。これでは、自分の手数は増えません。

4人の手が机上で重なる。役割分担と連携

そこで発想を変えました。AIを一つのツールとして使うのではなく、役割を持った組織として動かしてみたらどうか。秘書役を窓口に置き、案件が来たら関係する部署に振り分ける。法務の確認が要るなら法務役へ、市場を調べるならリサーチ役へ。人間の会社でやっている当たり前のことを、そのままAIの世界に持ち込みました。

チームがノートPCで並走する。並列で動かす

半年やってみて、はっきり効いたことが三つあります。一つ目は、並列で動かすことです。一つの相談を、複数の部署役に同時に投げます。すると、調査と法務チェックと資料の下書きが、同じ時間の中で進みます。一人で順番にやれば半日かかることが、数十分で形になります。二つ目は、専門役に分けて壁打ちさせることです。同じAIでも「あなたは法務担当です」と立場を与えると、答えの精度と視点が変わります。三つ目は、判断の点だけを自分に上げさせることです。私が見るのは、最後の「決める」ところだけでよくなります。途中の調べものや整理は、任せてしまいます。

書面にペンで署名する手。お金の決裁は人間が握る

逆に、効かなかったこともあります。丸投げです。「いい感じにやっておいて」では、まず使い物になりません。役割と、順番と、どこまでやってどこで止まるかを決めて初めて、AIは戦力になります。そしてもう一つ、これは固く決めていることですが、お金が動く判断と最終決裁は、絶対に人間が握ります。発注も、契約も、送金も、AIには一切やらせません。「独断発注はしない」というルールを組織の一番上に置いたからこそ、私は安心して大量の作業を任せられるようになりました。任せることと、明け渡すことは違います。

半年を経て、いちばん変わったのは作業量ではありませんでした。自分の立ち位置です。以前の私は、調べて、書いて、整える実務者(プレイヤー)でした。今の私は、上がってきたものに対して「決める」人(マネージャー)になりました。手を動かす時間が減って、考える時間が増えました。これは想像以上に大きな変化でした。

正直に言えば、まだ試行錯誤の途中です。うまく回る日もあれば、指示の出し方が曖昧で空回りする日もあります。それでも、この半年で掴んだ手応えは本物だと感じています。

この経験を、これから少しずつ、セミナーという形でお話ししていきたいと思っています。特別な技術の話ではありません。一人の経営者が、AIを「ツール」から「組織」に変えるまでに何を考え、何でつまずき、そして何を得てきたか。その地味な実践こそ、同じように一人で奮闘している方の役に立つはずです。詳細はまた、このブログでお知らせしていきます。気が向いたら、覗いてみてください。

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