土曜の朝、コーヒーを片手にニュースを眺めていたら、思わず姿勢を正しました。東急パワーサプライが系統用蓄電所の1号機を静岡御前崎で運転開始、と。「また大手か」という感想と、「やっぱりな」という確信が、同時に押し寄せてきました。
東急グループが蓄電所に本格参入
今年4月、東急パワーサプライが静岡県御前崎市に系統用蓄電所を稼働させました。容量は2MW/8MWh。5月には三重県、6月には群馬県と、2026年度だけで3拠点を立ち上げる計画です。グループ全体の開発規模は46MW/184MWhと、なかなかの本気度です。「森トラストに続いて東急。蓄電所、本当に熱くなってきたな」と感じた方も多いのではないでしょうか。
嬉しいような、怖いような
合同会社440も系統用蓄電所の開発を手がけている立場として、正直に言えば、この動きは「嬉しいような、怖いような」という複雑な感覚があります。
まず嬉しい理由。東急グループほどの大手が参入するということは、「系統用蓄電所はビジネスになる」という市場の評価が固まってきた証拠です。私たちがこの事業に踏み出した数年前、周囲には「難しいんじゃないか」という声も少なくありませんでした。卸電力市場や需給調整市場での収益モデルが見えにくかったからです。それが今や、不動産・エネルギー系の大手が次々と手を挙げている。マーケットの成熟を肌で感じます。
一方で、プレッシャーもあります。大手が参入すれば、資本力・ブランド力・調達力のすべてで私たちを上回るプレイヤーが市場に増えます。開発適地の競争は激化し、地権者交渉や系統接続の優先度でも、資本の厚い相手には勝てない局面が出てくるかもしれません。
「スピードと深さ」で戦う
では、合同会社440のような専業の独立系開発者に何ができるか。私はここを「スピードと深さ」だと考えています。大手は意思決定に時間がかかります。案件を評価する社内プロセスが複雑で、GOサインが出るまでに半年以上かかることも珍しくない。その間に私たちは用地を押さえ、接続検討を進め、次の一手を打てます。また、系統用蓄電所だけに集中しているからこそ、制度の細かな変化や市場の動向を誰よりも深く理解できる。これは総合エネルギー企業にはなかなか真似できない強みです。
今後、この市場にはさらに多くのプレイヤーが参入してくるでしょう。それはつまり、蓄電所が日本の電力インフラに不可欠な存在として社会に認められたということ。競争は歓迎します。ただ、負けるつもりはありません。

