こんにちは、合同会社440の山本です。
今週は再エネ業界で「制度」「需要家」「市場」の3軸が同時に動いた週でした。長期脱炭素電源オークションでは蓄電池の落札率が36%にとどまり依然3倍超の競争、阪急電鉄が25MWのオフサイトPPAを締結、九州電力子会社は米テキサスで200MW/400MWhの系統用蓄電所を商業運転開始。いずれも「制度頼み一本足」では生き残れない時代の入り口を示しています。今日はこの3本を整理して、440としての立ち位置を再確認したいと思います。
【ニュース①】長期脱炭素オークション、蓄電池は落札率36%の狭き門
▶ 2025年度長期脱炭素電源オークションにおけるリチウムイオン蓄電池の落札率は36%(応札152.5万kW→落札55.1万kW)。前回20%・前々回24%から改善はしたものの、競争率は依然約3倍。種別では非リチウム蓄電池58%、揚水リプレース42%と差が顕著でした。
(出典:日経BPメガソーラービジネス/2026年5月18日)
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05814/?ST=msb
💬 440の見解:LDA頼みの蓄電所開発は3倍競争前提で考えるべきフェーズです。440の案件は非LDA収益、つまり容量市場・需給調整市場・スポット裁定の三層スタックで採算を組み立てる方針を社内で再徹底します。LDA当選はボーナス、本収益は市場運用、という設計思想に切り替える時期に来ました。
【ニュース②】阪急電鉄、25MWのオフサイトPPAを契約
▶ 阪急電鉄がSun Trinity・丸紅新電力・関西電力と約25MWのオフサイトPPAを締結、2026年度から供給開始。鉄道事業電力の16.7%、昼間ピークでは約60%をPPA電源で賄う規模で、年間CO2削減量は約1.8万トン。既存5MWと合わせ2029年度以降は30MW規模まで拡大する予定です。
(出典:日経BPメガソーラービジネス/2026年5月18日)
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05812/?ST=msb
💬 440の見解:鉄道・大規模需要家のオフサイトPPAは20MW級が標準化しつつあります。440のNONFIT太陽光案件も、アグリゲーター経由ではなく需要家直販モデルへ営業設計を切り替える時期に入りました。需要家側に「電力の脱炭素化」KPIが存在する企業を営業ターゲットとして再リスト化する判断を、私の側で進めます。
【ニュース③】九州電力、テキサスで200MW/400MWhの系統用蓄電所が商業運転開始
▶ 九州電力子会社のキューデン・インターナショナルが米Spearmint Energyと組み、テキサス州2地点で合計200MW・400MWhの系統用蓄電所を商業運転開始。ERCOT市場で運用ノウハウを蓄積し、将来的に国内の再エネ需給調整に逆輸入する戦略です。
(出典:スマートグリッドフォーラム/2026年5月)
https://sgforum.impress.co.jp/article/5736
💬 440の見解:大手電力ですらERCOTで実地検証する時代に入りました。440の系統用蓄電所案件もJEPX依存だけでなく、需給調整市場・容量市場の収益スタックを前提とした収支モデルへ早急にアップデートする必要があります。海外の運用知見は、必ず3〜5年遅れで国内に降りてくるので、今から学習コストを払っておくのが事業者として合理的です。
まとめ ― 「制度頼み」を抜け出すための3つの視点
制度(LDAの3倍競争)、需要家(オフサイトPPAの大型化)、市場(海外実証の逆輸入)。3つのニュースに共通するのは「制度頼みの単線収益では立ちゆかない」という業界の本音です。440は引き続き、複線型の収益設計と需要家直販モデル、そして国際的な運用知見の取り込みを軸に、地に足の付いた事業運営を続けていきます。次のオークションまでに整えるべき社内体制について、改めて整理していきます。
山本

