こんにちは、山本です。今週の再エネ木曜版、今日は数字の話です。「申請と稼働のギャップ」という、業界に関わる方なら一度は感じているはずのテーマを、実際のデータで整理してみます。
【ニュース①】接続検討申込み159,000MW・連系済み500MW──日本の系統用蓄電所に「大渋滞」
資源エネルギー庁の2025年9月末時点のデータによると、全国(沖縄除く)における系統用蓄電所の接続検討申込み容量は約159,000MWに達している。一方、実際に連系済み(稼働中)の容量は約500MW。申請容量に対する連系済みの割合は約0.3%にとどまる。
同データでは、契約申込み容量も約24,000MWに上る。太陽光が前年比1.1倍、風力が0.8倍であるのに対し、蓄電池は前年比3.9倍と突出した伸びを示している。2024年度の新規接続検討申請の66%が蓄電池案件で、2025年度はさらに約83%まで上昇している。
(出典:資源エネルギー庁「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について」2026年2月9日)
💬 440の見解:申請159,000MWに対して稼働500MWは約0.3%。この差は手続き遅延だけでなく、系統容量の物理的制約と投機的申請の混在が背景にある。経産省資料が示す数字として確認されている事実だ。
【ニュース②】2026年1月・4月に段階施行された「空押さえ」対策
資源エネルギー庁は2026年2月9日の資料で、段階的な規制強化を公表した。2026年1月以降の申込み分からは、接続検討・契約申込みの両段階で事業用地の登記簿等の提出が義務化された。2026年4月以降の申込み分からは、契約申込み時の保証金増額と工事費負担金の分割払い制度の運用厳格化が施行された。
背景には、土地と系統接続権利をセットで他社に転売するビジネスモデルの横行があった。先着優先ルールのもとで土地確保や資金力を証明せずに申請できる構造が、投機的な申請件数の急増を招いたと経産省資料は指摘している。
(出典:資源エネルギー庁「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について」2026年2月9日)
💬 440の見解:土地使用権原の義務化は、用地を先に確保した上で申請するという正規の手順を踏む事業者には、追い風となる制度変更でもある。制度整備が進むことで、投機目的の申請が排除され、実需ベースの申請に絞られていく方向性が見える。
【ニュース③】LTDA第3回(FY2025):蓄電池1,250MW落札・6時間放電が新条件に
2026年5月、OCCTO(電力広域的運営推進機関)がFY2025年度のLTDA第3回の結果を公表した。蓄電池の落札は19プロジェクト・1,250MW。内訳はリチウムイオン系551MW、非リチウム系699MW。前回のFY2024(1,370MW)から120MWの減少となった。
今回から放電時間6時間未満のプロジェクトは参加不可(前回は3時間以上)。蓄電池セルの特定国調達比率を30%以下に制限する要件も新設された。全体では32プロジェクト・7,300MW(定格)が落札された。
(出典:pv-magazine International 2026年5月16日、Energy-Storage.News 2026年5月)
💬 440の見解:今回の落札で非リチウム系が699MW(全体の56%)を占めた。LTDAは6時間以上の大規模・長時間放電型が対象で、低圧・短放電型の蓄電所とは市場が異なる。同じ「系統用蓄電所」でも制度上の位置づけが明確に分かれてきた。

