こんにちは、山本です。7月は蓄電所のニュースを追う手が止まりませんでした。片や「1GW」という桁の計画、片や「82MWh」という現場の着工と試運転。同じ月に並んだこの二つが、この業界の今を一番よく表していると思います。
【ニュース①】関西電力が1GW、Neoenが赤穂で100MW/400MWh

▶ 関西電力が2030年代前半までに系統用蓄電所1GWを開発する方針であることが報じられました。あわせて7月11日には、フランスのNeoenが兵庫県赤穂市で100MW/400MWhの案件を手がけ、国内の系統用蓄電所事業に参入したことが伝えられています。大手電力と海外の再エネ専業が、同じ月にそろって「GW」「100MW」の単位で名乗りを上げた形です。
💬 440の見解:桁が上がったのは計画であって、系統の空き容量ではありません。1GW級の計画が先に枠を押さえれば、後続はより厳しい条件で連系を探すことになります。大手が動くほど、中小規模の事業者は「どのエリアで、どの電圧で戦うか」を早く決める必要が出てきます。
【ニュース②】Birdmanが完工、豊岡1号が試運転、三木森HDは81MWhの10案件

▶ Birdman(7063)が7月2日、系統用蓄電池設備の完工および運用開始を適時開示しました。グローム・ホールディングス(8938)のグループが契約した系統用蓄電所「豊岡1号」(兵庫県豊岡市)は試運転に入り、7月10日には第2号となる栃木県栃木市の設備の引渡しを受けています。三木森ホールディングスも、総容量81MWh・総出力19.8MWにおよぶ全国10拠点の運転開始予定案件について開発契約を締結しました。
💬 440の見解:完工、試運転、引渡し。7月に並んだのはこの三語です。計画を発表するのと、実際に受電して電気を動かすのとでは、必要な体力がまったく違います。ここから先は、系統手続きとEPCを最後までやり切れる体制があるかどうかが、そのまま企業の差になります。
【ニュース③】東急不動産らが飯塚勢田蓄電所82MWhを着工、GreenBeeは取得で参入

▶ 7月3日、東急不動産・IBeeT・Akaysha Energy Japanの3社が、福岡県飯塚市で大型系統用蓄電池施設「飯塚勢田蓄電所」(定格出力20MW・定格容量82MWh)の建設に着手しました。一方7月16日には、GreenBeeがウエストホールディングスから蓄電所を取得する形で系統用蓄電池事業に参入したことが伝えられています。ゼロから開発する道と、出来上がった資産を買う道が、同じ月に並走しました。
💬 440の見解:この二つは優劣ではなく、何を持っているかの違いです。用地と接続とEPCを自前で回せるなら開発、時間そのものを買いたいなら取得。ただし取得する側も、元をたどれば誰かが土地を押さえて系統をつないだ案件です。入口の数は増えていません。
今週の総括
1GWの計画と、82MWhの現場。この二つは矛盾していません。むしろ、上で桁が上がるほど、下では系統の枠と土地の取り合いが激しくなります。私たちが毎日のように用地を見て歩いているのは、そこが一番先に埋まる資源だと分かっているからです。
計画は発表した日から動きますが、蓄電所は土地が決まらないと1kWhも貯められません。派手なニュースの裏側で、地味な用地の話が価値を持つ時期に入ったと感じています。

