こんにちは、山本です。連日の猛暑で、電力の話が家庭の会話にまで降りてきた一週間でした。今日は蓄電所を「建てる」話ではなく、「建てたあと」の話を3本。電池をいくらで手当てするか、誰が運用するか、売り先の市場がいくらか。稼働フェーズの採算は、だいたいこの3つで決まります。
【ニュース①】中古のEV電池を積んだ2MW/10MWhが、静岡で動き出した

▶ 蓄電システムの開発から蓄電所の保有・運用までを手がけるNEXTESが、静岡県伊豆の国市で2MW/10MWhの系統用蓄電所の運転を始めました。東京都の「ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業」で令和4年度に採択された「中古車載電池をリユースした大規模蓄電システムの開発」の成果を、実際の電力系統で検証するために設置したものです。2026年6月から段階的に立ち上げ、試運転を終えて運転頻度を高めている段階。東京電力パワーグリッド、関西電力と連携しながら、需給調整市場への参画を見据えています。同社は栃木県でも1MW/4MWhの那須塩原蓄電所を運用しています。
💬 440の見解:蓄電所の採算は、突き詰めればセルの値段と寿命でほぼ決まります。中古電池でCAPEXを下げる道が実系統で成立すると示されれば、いま各社が弾いている事業計画の前提そのものが動く。焦点は、劣化のばらつきを制御でどこまで吸収できるかです。
出典:enehub「NEXTES、静岡県伊豆の国市でBESSを運開」(2026年7月23日)
【ニュース②】運用は自前でやらない。Birdmanの蓄電所をRE100電力が回す

▶ Birdman(7063)が鳥取県境港市に建設した系統用蓄電所は、7月1日に完工し、7月4日に運用を開始しました。同社は7月16日、この1.9MW/8.1MWhについてRE100電力とアグリゲーション契約を締結。電力市場の動向と設備の稼働状況をふまえた充放電制御と、24時間365日の遠隔監視を、O&Mと一体で提供する形です。Birdmanは蓄電所事業で2027年6月期に約2.8億円の売上を見込み、7月10日には2号基として、土地と系統連系接続権を含む設備の取得も決議しています(取得価額は非開示、直前期の連結純資産の300%以上、運転開始は2026年10月予定)。
💬 440の見解:電力市場に24時間365日張り付く仕事は、片手間では回りません。運用は専門事業者に任せ、自分は資産と入口を押さえる。この分業がここへ来て型になりつつあります。裏を返せば、運用の委託先を確保できない事業者は、稼働してから苦しくなります。
出典:enehub「RE100電力、Birdmanと系統用蓄電所のアグリゲーション契約を締結」(2026年7月27日)/株式会社Birdman「固定資産(系統用蓄電池設備)の取得に関するお知らせ」(2026年7月10日)
【ニュース③】JEPXスポットが3週連続で上昇、直近1年の最高値を更新

▶ 7月18日から24日のJEPXスポット価格は、システムプライスの週間平均が20.83円/kWh。前週から2.55円上がり、3週連続の上昇です。23日の日平均24.78円は、2026年4月1日の23.15円を上回って直近1年の最高値となりました。エリア別では、東京が23日16時30分〜17時に50.01円、西日本が24日18時30分〜19時に58.38円をつけています。猛暑日が続いて冷房需要が伸び、午後以降は30〜45円で推移する日が続きました。低価格帯の売り入札がほぼ消化され、高価格帯まで約定が及んだ結果です。約定総量は約9.4TWhで、過去52週の最高水準を更新しました。
💬 440の見解:夕方に58円がつく市場は、蓄電所にとって理屈のうえではおいしい。ただしこれは猛暑込みの数字です。年間の設計はスプレッドの平均で見るべきで、瞬間最大風速で事業計画を書くと、涼しくなった頃に足元をすくわれます。
出典:enehub「7月18日週JEPXスポット価格」(2026年7月24日)
今週のまとめ
中古で電池のコストを下げる。運用を専門家に任せる。そして売り先の市場価格は上がっている。今週の3本は、どれも「建てたあと」をどう有利にするかの話でした。
ただ、Birdmanの2号基取得が示したのは、その手前の話です。土地と系統連系接続権をセットにした設備が、直前期の連結純資産の300%を超える金額で取引されている。入口の値段は、もうそこまで来ています。
建ててからの工夫はいくらでもできますが、つながる土地がなければ1kWhも貯められません。自社で系統用蓄電所の用地開拓を続けているのは、そこが一番先に埋まる資源だと分かっているからです。土地の情報や案件のご相談があれば、お気軽にお声がけください。

