こんにちは、合同会社440の山本です。この一週間は、低圧の蓄電所まわりの発表が続きました。2028年までに2000件、という数字も出てきています。ただ、目標と実績は別ものです。低圧蓄電所が本当に「数で攻める」市場になるとして、それはいつなのか。用地を探している側から、条件を数えてみます。
【ニュース①】エンブルーとBluefield Energy、低圧系統用蓄電池で協業。2028年までに2000件

▶ 概要:8月6日、エンブルーとBluefield Energyが低圧系統用蓄電池の事業化で協業すると発表しました。エンブルーが適地探索から事業性評価、システム設計、機器調達、電力申請、建設、販売までを一貫して担い、Bluefield EnergyがAIアグリゲーションシステム「BF Cloud」で充放電の最適制御・市場取引・精算業務を担当します。目標は2028年までに2000件の事業化。背景には2026年4月の制度改正があり、低圧のリソースもアグリゲーターを通じて需給調整市場に参加できるようになりました。短期間で事業化できる低圧案件に注目が集まっている、というのが両社の説明です。
💬 440の見解:2000件という数字は、1件あたりの手離れの良さを前提にしないと立ちません。そして低圧で一番手離れが悪いのは、機器でも申請でもなく用地です。当社も低圧の用地を探していますが、条件に合う土地は決して潤沢ではありません。この目標の進み方は、そのまま適地の残量を測る物差しになります。
【ニュース②】三菱HCキャピタル、Shizen Connectと資本業務提携。低圧を束ねる側に資本が入った

▶ 概要:8月14日、三菱HCキャピタルがShizen Connectと資本業務提携を結び、同社のシリーズAラウンドの第三者割当増資に参画すると発表しました。Shizen ConnectはIoTとAIでエネルギー設備を統合制御するVPPプラットフォームを手掛けており、企業が保有する低圧発電所・蓄電池・給湯器などを束ねて運用します。今後は低圧発電所のFIP転換に加え、DRサービスの構築を目指すとしています。低圧のリソースは、機器ごとの計量と、数百台から数万台規模の群管理によって、ひとつの調整力として市場に供出される仕組みです。
💬 440の見解:低圧が数の市場になるには、束ねる側が先に立ち上がっている必要があります。1件あたりの収益が小さい以上、この基盤に資本が入るかどうかが分岐点です。リース大手が出資に動いたのは、束ねる仕組みそのものが投資対象として認められ始めた合図だと受け止めています。
【ニュース③】改正電気事業法が成立。太陽光の支持物は工事前に第三者が確認へ

▶ 概要:7月17日、電気事業法の改正法が参議院で可決・成立しました。太陽電池発電設備の支持物などについて、登録適合性確認機関という第三者機関による工事着手前の技術基準適合性確認の対象とする仕組みが整備されます。設計の不備に起因する事故を防ぐ趣旨で、着工してからではなく図面の段階で確認を入れる点が要点です。一部の規定を除き、公布後9か月以内に施行される予定です。
💬 440の見解:手続きが1つ増えることを負担と見るか、選別と見るかで評価は割れます。私は後者だと考えています。構造の作りが甘い設備が淘汰されれば、まともに設計してきた事業者の立ち位置は相対的に上がる。数を追う時代ほど1件あたりの品質が問われるという、逆向きの力が働きます。
「いつ」に答えるなら、条件は3つある
タイトルの問いに戻ります。低圧蓄電所が数で攻める市場になる条件は、私の見立てでは3つです。
ひとつ、束ねる基盤が先に立ち上がること。ニュース②はまさにその途上にあります。ふたつ、1件あたりの工程が本当に短いこと。低圧は高圧より入口が軽いと言われますが、軽いのは申請であって用地ではありません。みっつ、その速さの中でも品質が保てること。ニュース③はその歯止めとして効いてきます。
このうち、いま一番遅いのは用地だというのが実感です。条件に合う土地を1件見つけるまでの時間は、機器を調達する時間よりずっと長い。ですから2000件という数字が達成される時期は、束ねる仕組みの成熟ではなく、適地をどれだけ掘り起こせるかで決まると見ています。
時期の断定はしません。ただ、その答え合わせを一番早く体感できる立場にいるのは、用地を探している側だとは思っています。引き続き現場から見ていきます。山本でした。
出典:PR TIMES「エンブルーとBluefield Energy、低圧系統用蓄電池の事業化体制を構築」(2026年8月6日)/Shizen Connect「三菱HCキャピタルとShizen Connectが資本業務提携契約を締結」(2026年8月14日)/長島・大野・常松法律事務所「2026年電気事業法の改正法の成立」(2026年7月)

