【8月25日の再エネ関連耳よりニュース】持つ人と回す人が分かれた週──低圧アグリ参入、工場の敷地に2件、運用は外注

こんにちは、合同会社440の山本です。お盆明けの一週間、蓄電所まわりのニュースがそろって同じ方向を向いていました。造る人、持つ人、回す人が、少しずつ別の会社の仕事に分かれていく。今日はその分岐を3本で追いかけます。

【ニュース①】デジタルグリッド、低圧の系統用蓄電池を束ねる事業へ参入

桟橋に整然と並ぶ多数の小型艇を上空から見た様子

▶ デジタルグリッドが8月19日、これまで高圧系統に限っていたアグリゲーションサービスを低圧系統にも広げると公表しました。需給調整市場向けの運用容量は8月18日に100MWを突破し、全体では150MW超。すでに30件以上の低圧蓄電池をメーカー不問で束ねており、対象は沖縄県と離島を除く全国です。2028年7月までに383MWへ拡大する計画を掲げています。背景にあるのは、2026年4月の制度変更で連系出力50kW未満のリソースも需給調整市場に参加できるようになったことです。

💬 440の見解:4月に開いた制度の扉に、束ねる側がようやく実装で応えてきました。低圧を持つ側から見れば、運用先を選べる状態に一歩近づいたということです。一社に決め打ちせず、条件を比べる前提で話を進めたいところです。

【ニュース②】多摩興産、八王子工場の敷地内に1.9MW蓄電所を2件

工場建屋の脇に広がる舗装された自社敷地

▶ 多摩興産が、東京都八王子市にある自社工場の敷地内で1.9MWの系統用蓄電所を2件開発します。第1・第2をあわせて3.8MW、運転開始は2026年12月頃の予定。東京都の2025年度「再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業」の採択案件で、事業費は第1が約3億円、第2が約2億9,400万円です。保有と維持管理は多摩興産が担い、事業化支援と運転開始後の市場取引・需給管理は日鉄エンジニアリングが受託します。

💬 440の見解:用地の取得競争に加わらず、自社敷地と都の補助金で組み立てた形です。工場や倉庫を持つ会社にとって、使い切れていない舗装スペースは最短距離の候補地になります。運用を外部に預ける設計も、初参入としては現実的な選択です。

【ニュース③】KAJIWARA、兵庫・朝来の2MW/8MWhの運用を外部へ委託

手から手へ鍵を渡すクローズアップ

▶ 熱交換器やプラント機器の設計製作を本業とするKAJIWARAが、兵庫県朝来市に建設する2MW/8MWhの蓄電所について、アグリゲーション業務をスマートエナジーの完全子会社であるスマートエナジーサーキュラーへ委託すると、8月17日に発表されました。運転開始は2027年4月の予定で、卸電力市場・需給調整市場・容量市場で運用します。同社はFIT太陽光を11ヵ所・合計7.7MWac保有していますが、系統用蓄電所は今回が初の公表案件です。

💬 440の見解:本業が製造業でも、太陽光で系統を扱った経験があれば蓄電所には入れます。ただ運用は片手間では回りません。持つ人が運用を外に出す判断は、規模の小さい事業者ほど早めに固めておいた方がいいと考えています。

造る・持つ・回すが、別々の会社の仕事になっていく

同じ週、ほかにも同じ匂いの発表がありました。太陽光開発で100MW超を持つFJTECは、北海道釧路市の1.9MW/8.2MWh「釧路桂恋蓄電所」を運転開始前にエレビスタへ売却すると発表し、2030年までに全国100MW以上の建設を掲げています。リミックスポイントは、機器販売と自社保有を中心とした従来型から、光通信・ナピル・REXEVと組むプラットフォーム型へ事業を転換すると打ち出しました。

造って売る人、土地と設備を持つ人、市場で回す人。この3つが同じ会社でなくてよくなった、というのが今週の変化だと私は受け取っています。低圧の用地を探して歩いている立場からすると、これは追い風です。回す相手が増えれば、土地と系統枠を先に押さえた側の手札は増える。逆に言えば、押さえていない側は、いくら運用が上手でも回すものがありません。今週も足で土地を見に行きます。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です