AI白書2026の調査に、少し意外な数字がありました。AI投資を増やす会社と、横ばいの会社。この2つで間接部門の人員が減る見込みは、どちらも約14%で同じだったのです。
投資を増やしたから人が減る、という関係が出ていません。今日はこの1点を軸に、8月に出た2つの調査を読んでいきます。
投資を増やしても、間接部門の人は減っていない

角川アスキー総合研究所の『AI白書2026』が8月20日に発売されました。収録された独自調査の対象は、上場企業または従業員300人以上の非上場企業に勤める経営者・役員と従業員。2026年4月24日から25日にかけて実施され、有効回答は310件です。
目を引いたのは人員の見込みでした。AI投資を増やすと答えた企業と、横ばいと答えた企業。この2群で「間接部門の人員が減少する」と見込む割合は、いずれも約14%。投資の増減で差がついていません。
AIを入れれば人が減る、という話は導入前によく語られます。ただ実際に投資を増やしている会社でも、人員計画はほとんど動いていないことになります。
💬 440の見解:AIは人を置き換える道具ではなく、同じ人数の出力を変える道具として使われています。減らす前提で投資計画を組むと、期待外れに終わりかねません。
86.4%が使い、27%が組織として何もしていない

総務省が7月24日に公表した令和8年版情報通信白書では、何らかの業務で生成AIを使っている国内企業が86.4%に達しました。2024年度調査の55.2%から、一年で大きく伸びています。
一方で、業務の変革について「組織的な取組はない」と答えた割合が27.0%。米国は1.4%、ドイツは4.9%ですから、日本だけが突出して高い水準です。
使っている会社の割合は、もう各国と大きく変わりません。差がついているのは、会社として設計しているかどうかの一点です。
💬 440の見解:導入率はもはや差別化になりません。どの業務で誰がどう使うかを決めているかどうかが、成果の分かれ目になっています。
ルールを作った会社でも、半分が現場に追いつけていない

同じAI白書の調査から、もう一つ。会社の許可を得ずにAIを使う、いわゆるシャドーAIの利用率は、管理職で46.5%、一般社員で38.1%でした。
興味深いのは、ガイドラインを全社整備済みの企業でも46.9%が使っていた点です。ルールを作れば止まる、というものではありませんでした。
その全社整備企業のうち45.1%が「ルールが現場の実態に追いついていない」と回答しています。管理職に限れば57.4%です。
上場と非上場の差も示唆的でした。投資を増やす見込みは80.1%対50.0%。一方、定量的に効果を把握しているかは37.0%対13.7%と、こちらの方が開いています。
💬 440の見解:ルールは作った時点ではなく、更新し続けて初めて機能します。測っていない会社は、効いているかどうかを判断する材料すら持てません。
差は、測る仕組みから出ている
3つの数字が同じ方向を指しています。AIは人を減らす道具になっていない。導入率ではもう差がつかない。差は、測る仕組みとルールの更新から出ている。
明日からできることを一つ挙げるとすれば、AIを使っている業務を1つだけ選んで、着手から完了までの時間を測ることです。前後を比べる材料が手元にないと、増やすべきか絞るべきかの判断ができません。
自社でも再生可能エネルギーや蓄電所まわりの業務にAIを組み込んでいますが、効いたと言い切れるのは時間を測った業務だけでした。感覚では、意外なほど分からないものです。

