
今日は少し電気の話。4月になって制度がひとつ大きく変わったんですが、業界の外だとほとんど話題にならない。でもこれ、けっこう重大な変化だと思っていて、私なりの見方を書いてみます。

< 今週気になったニュース >
2026年、日本の電力需要家に訪れる大変革。需給調整市場を低圧リソースに開放
出典: SOLAR JOURNAL|https://solarjournal.jp/policy/61672/
2026年4月、日本のエネルギー業界はひっそりと、でも確実に大きなページをめくった。
需給調整市場への低圧リソース参加が、ついに解禁された。
これを聞いて「ふーん、電力の話ね」と流してしまう人も多いと思う。でも私にとっては、長年待ち望んでいた変化の始まりだ。
これまで系統用蓄電所を動かしていて、常に感じていたのは「大規模でなければ市場に参加できない」という非対称性だった。電力の需給調整市場は、一定規模以上の発電・蓄電設備を持つ事業者だけが動かせる、言わばプロ専用のフィールドだった。しかし今日から、家庭の蓄電池やEVも「調整力」として認められ、電力市場に参加できるようになった。
面白いのは、ここにAIが絡んでくる点だ。
何千台もの家庭用蓄電池をリアルタイムで制御し、需給の変動に応じて充放電をコントロールするには、人手では到底対応できない。AIによる自動制御・需要予測・価格最適化が必須になる。アグリゲーターとして勝ち残るには、テクノロジーが競争の軸になる時代が始まった。
我々合同会社440は、系統用蓄電所の開発と、AIワークフロー自動化という2本柱でビジネスを展開している。今回の制度変更は、まさにその2本の柱が交差するポイントだと感じている。蓄電池の群制御・市場取引の最適化は、AIオートメーションが最も力を発揮できる領域だ。
ただ、手放しで喜んでいるわけでもない。
市場が開いたということは、参入者も増えるということだ。東京ガス、東電系、KDDIなど、大手が家庭用蓄電池の「無償設置モデル」で顧客を囲い込もうと動き出している。資本力のある大企業が大量の低圧リソースを抱え込めば、アグリゲーター市場は急速に寡占化するかもしれない。
だからこそ、規模で戦うのではなく「何を知っているか」で戦う必要がある。現場の土地情報・系統の空き容量・制度の裏読み。これらは規模だけでは買えない、経験とネットワークの資産だ。
低圧VPP元年。この言葉、来年には普通に使われるようになっていると思う。早めに動いた人が、笑う。
合同会社440 代表 山本啓史

